理念と口コミのおいしい関係




よく企業経営において、「理念」が大事ですよという話を耳にします。私もこの企業理念は、非常に大事なものだという認識を持っています。理念=お店の憲法ということで、その理念に沿って組織運営を行う。そうすれば、社長と従業員などの、店内のコミュニケーションを円滑に運ぶことができ、方向性の間違いを犯しにくくなります。結果長期的に見て、理念に基づいて経営を行うことが非常に大切なポイントになるということです。

さらに今号では理念を作ることで、なんと口コミが増えてしまうという現象について事例を用いながら、お伝えしていきたいと思います。

タイトルにもありますように、お金をかけずに集客を行って繁盛店にするためには、必ず御紹介のお客様が増えていく必要がありますね。逆にお金をかけて繁盛店?!にするためには、広告やチラシ、DMなどを多用して、新規のお客様をたとえば割引などをして、呼んでこなければなりません。一等立地にお店を出店するということも、お金があればできますが、ほとんどのお店では、そういった資金力を武器にした経営手法は、使いたくても使うことができませんよね。

ましてやそのようにして集めたお客様も、割引目当てや特典目当てのお客様が多くて、なかなかそのお店に定着してくれません。よく考えたら不思議な話で、何度も御来店していただけているお客様に割引や特典をつけることはあっても、初回来店のお客様だけに割引をするというのは、とても不公平な話ですよね。

このように広告などに依存した集客方法では、リピーターがなかなか増えないということになります。それでも広告に依存しないと新規集客ができなくなるということは、お店にとっては、悲惨な状態です。 なんとか広告依存体質ら脱却するためにも、口コミを増やして、ご紹介での新規のお客様を集めるべきなのです。

しかしながら、この口コミによる集客に関しては、少なからず誤解をされている経営者の方も多く見受けられます。それは、繁盛しているから口コミが広がるという誤解です。私が様々な繁盛店を原点から時系列で調べている中で、繁盛しているから口コミが広がっているのではなく、口コミが広がるから繁盛店になることができるという順番が違うという事実がわかりました。

ということは、口コミというのは、お店側から情報を発信して、口コミを広げるというやり方があるということです。

それでは、人はどういったときに、他人にそのお店の事を話したくなるのでしょうか?商品やサービスがいい、というだけでは、なかなか口コミは広がりません。口コミが広がるポイントには、「物語」がそのお店にある、ということが重要なのです。

例えば、私の自宅の近くには、こんなラーメン屋さんがあります。地元では有名な話です。そのラーメン屋さんは、メニューが「おいしいラーメン」しかありません。このラーメン屋さんの売りは、飲んだら病みつきになってしまうあっさりスープなのですが、本当に一口飲むと、もう一口、もう一口と夢中になって飲んでしまうくらいとても美味しいスープなのです。

そこの店主の親父さんは変わっていて、ほとんど何もしゃべってくれません。その偏屈な性格とおいしいラーメン、そしてそのスープは店主の自宅で作られ、お店に輸送される際には、そのスープの蓋に南京錠を付けるほどでした。一時期は、現金輸送車でスープを運んでいたというような逸話まで生まれるほど評判になりました。そんなラーメン屋さんに一度、足を運んで見ませんか?と言われると少し行ってみたいと思いませんか?

口コミが広がる要素の中には、必ず「物語」があります。しかしながら、こういったお話をさせていただくと必ず経営者の方からの返答は、「当店には物語なんてないよ」という言葉です。しかしながら、1000店あれば1000店通りの物語が必ずあります、そのヒントは経営理念にあるのです。

この経営理念ができた経緯、そして過去の苦い経験、成功した要因、これからの夢、それを達成するために何を頑張っていくのか?そのような、経営理念に関する全ての事柄が、あなたと、あなたのお店の物語になっていきます。

私のクライアントで、「楽しく、楽しんで、楽しませて、気取らないおもろい空間」をコンセプトにした焼き鳥居酒屋があります。そこの店主は、20代前半で実は引きこもりになり、うつ状態。そこから脱出するきっかけは、近所の焼き鳥居酒屋の店長でした。

ずっと話を聞いてもらううちに、少しずつ癒されもう一度社会復帰を決意したそうです。そして居酒屋で修行を始め5年後、独立し、現在は1年に1店舗、増店されています。そのときの恩返しのために、少しでも引きこもりやウツ、強いては自殺まで悩んで苦しんでいる若者の力になりたい、少しでも多くの若者を救いたい!という志のもと経営されています。

こういった、本当の想いが、顧客に届き口コミで広がるのだと私は考えています。

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